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光毒性と精油 光毒性のほんとのところ

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精油の中には、肌についた状態で紫外線に当たると皮膚にシミを作ってしまう光毒性という作用を持つものがあります。今回は、光毒性の一般的な知識から初めて、更にもう少し掘り下げて光毒性を起こす成分について考えてみることにします。また、よく間違えられる光毒性と光感作(アレルギー)の違いについても考察します。

光毒性とは

アロマテラピーにおける光毒性は、主には精油の中に含まれるフロクマリン類という成分が原因で起こります。フロクマリン類を含む精油をお肌に塗り、紫外線に当たることで皮膚に炎症が起こり、結果シミができてしまいます。

光毒性を起こす精油

光毒性を起こす精油は、主にはセリ科やミカン科の植物を圧搾法で抽出したものです。セリ科については水蒸気蒸留です。ミカン科の精油が圧搾(全部じゃないけど)。セリ科とミカン科の他にもマメ科やキク科、クワ科の植物にも一部分布しているようです。私たちアロマテラピーを活用する人たちが一般的に「光毒性のある精油は?」と聞かれますと、1番に思いつくのは「主には柑橘系の果皮から圧搾抽出した精油」になるかと思います。柑橘系の中でもベルガモットなどは光毒性のリスクが高く、逆にオレンジスイートなどはあまり光毒性については心配ないとされることが多い見解であると感じます。実際私も初学の生徒様にはそのようなお伝えの仕方をすることが多いです(もちろんもう少しちゃんと説明しますが)。でも、圧搾抽出以外の柑橘系以外にも、光毒性を持つ精油はあります。

フロクマリン類(ベルガプテンなど)を含み、光毒性に注意する精油については、一般的なものは一般書や各協会のテキストや辞典にも掲載されているかと思いますが、蒸留・圧搾の仕方や同じ科のなかでも種類によって,また同一 種類でも部位の違いや産地、収穫時期などによっても有無や濃度に違いが出るようです。

普段私はナードのケモタイプ精油辞典を参考にすることが多いのですが、今回は更に「Determination of furocoumarins in essential oils」のデータを元にして書き出しながら私なりの見解も付け足してみたいと思います。しかしながら、今回もまた色々枝葉で気になること有り、私の気まぐれにより大いに脱線しつつ、脱線し過ぎず行きつ戻りつ(どっちよ)書き上げたいと思います。いつもこんな感じでごめんなさい。

精油中のフロクマリン類分析と光毒性

Japan Journal of Aromatherapyの沢村正義先生の論文では、116種類の精油(株式会社生活の木より入手したもの)についてガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)が行われています。精油の原産国は日本をはじめ32か国のものが集められました。植物の採油部位はそれぞれの精油によって、果皮・葉・花・根・種子・樹脂・など13部位です。

この研究では光毒性のある4種類と光毒性はないけれどクマリン類の代表格である1種類のクマリン類全5種類の成分について調べられました。5種類は以下です。

  • ソラレン
  • キサントトキシン
  • ベルガプテン
  • イソピムピネリン
  • オーラプテン

分析した116種類の精油のうち、フロクマリンはセリ科とミカン科の精油に検出されたようです(それぞれ4種類、9種類)。オーラプテンはミカン科の6種類で検出。

フロクマリンが検出された精油

セリ科

  • アンジェリカ(根) Angelica archangelica
  • セロリ(種子) Apium graveolens
  • フェンネル Foemoculim vulgare
  • ロベジ Levisticum officinalis

ミカン科

  • カボス Citrus sphaerocarpa
  • グレープフルーツ Citrus paradisi
  • ネロリ Citrus aurantium
  • ベルガモット Citrus bergamia
  • ユズ Citrus junos
  • ライム Citrus aurantifolia
  • レモン Citrus limon

の合計10種類の精油だったようです。

アンジェリカ精油と光毒性

アンジェリカ精油は今回研究に使われていたのは根抽出のものですが、種子から抽出されたものもあります。どちらもおそらく光毒性には注意が必要な精油です。アンジェリカの主成分はモノテルペン炭化水素類でα-ピネンやδ-3-カレン、フェランドレンやリモネンです。古くからヨーロッパでは呼吸器系や消化器系のケアに用いられてきたハーブで、また神経衰弱など不安軽減にも用いることができるのは、α-ピネンによるストレス対応の他にもフロクマリン類のインペラトリン、イソインペラトリンの複合作用も役立っているのではないかと言われています。インペラトリンはクマリン誘導体でヨロイグサなどにも含まれる成分で、ヨロイグサとはビャクシという生薬の元となる植物です。生薬としては大分類は解表剤で発汗発散を促す際に利用するようですが、インペラトリンについてはまだ調べ中。。

この研究で検出対象だったフロクマリンは上記5種類で、アンジェリカはこのうちオーラプテン以外の4種類のフロクマリンについて含有がありましたが、そのうちソラレンとベルガプテンが多く検出されていました。ソラレンが検出されたのは、この研究で用いられた精油のうちアンジェリカだけだったようです。セリ科の中ではベルガプテンの量は一番多く検出されていました。(61.2mg/kg)

セロリ精油と光毒性

セロリ精油も割とクセのある香りのする精油ですね。セリ科全般そうかもしれないです。セロリ精油の主成分は、モノテルペン炭化水素類のd-リモネンやセスキテルペン炭化水素類(+)のβ-セリネン、あとはラクトン類のフタリド類(3-N-ブチルフタリド)などです。このクセのある香りを作っているのはこのフタリド類の影響のようですよ。フタリド類もクマリン誘導体の一種でフロクマリン類と同じ仲間と言えますが、面白いのがフタリド類には抗色素沈着作用があることです。そうなの。セロリの精油ってシミに使う!っていうのがなんていうかお決まり文句といいますか。だから、フロクマリン(ベルガプテン)はシミになるから気をつけて!だけど、同じクマリン誘導体でもフタリド類はシミに使って!みたいな。真逆の作用持ってるんですね。ラクトン類からクマリン、フロクマリンなどの分類のややこしいところはまた別で記事を整理して書きますね。ここが整理できてないと、この文章意味不明ですよね。すみません。

あと個人的になのですが、セロリがシミに使えるかどうか問題として、まだあまりよくわかっていないのではないかとも思っています。フタリド化合物のセダノリドという成分、これはセロリにも入っているようですが、これにメラニン産生を抑制する働きを持つ可能性が過去に報告されているようで、その流れでセロリはシミにいける!みたいな説が出たのかもしれないなと思う次第です。なので、成分を見ていけばシミに抗うことのできる成分も含有しているかもしれませんが、しかしながら今回の大テーマである光毒性(シミができちゃうよ)というその原因となるベルガプテン、イソピムピネリンもわずかながら含まれている(8.7、1.8mg/kg)という結果でした。そして今回はセロリの種子抽出でしたが、これがセロリの葉や全草抽出になるとさらに光毒性の原因となるフロクマリン類は増える可能性が有りそうなので、シミのケアにもしセロリ精油を使用する場合は、そういったあたりも頭に置きながら利用されてはいかがでしょうか。

ちなみにですが、私はシミにセロリ精油を使うというケアはあまりしたことがなく、また今後もあまりしないのではないかと思います。理由は光毒性の懸念ではなく、また別のところにありますが。

フェンネル精油と光毒性

フェンネルも独特な香りをもつハーブの一種ですね!この研究ではフェンネルから検出されたベルガプテンはかなり微量で0.6mg/kgだったようです。フェンネルは光毒性というよりどちらかというとtrans-アネトールの女性ホルモン様作用の方が注目されると思うので、そちらでまた機会があれば考察してみたいとおもいます。一応今回はベルガプテンとしては微量。あとフェンネルとよく似た性質を持つアニスシード精油からは今回はフロクマリンは検出されなかったようです。

ロベジ精油と光毒性

ロベジ精油もとっても変わった精油です。セリ科ってやっぱりちょっとふだん使いするというよりも、ちょっと変わり種な精油ばかりな印象。香りもクセがあるっていうのは先ほども書いたようにそれ(香りの原因)自体がフタリド類にあるということも、その独特さを物語っている様に思います。共通項が見えてくると面白いですよね。ロベジの主成分はなんとラクトン類フタリド類そのもの!固有成分は、リグスチリド、Z-ブチリデンフタリド、E-ブチリデンフタリドなど。そしてベルガプテンは49.9mg/kgとこの研究では高濃度に含まれているという結果でした。私が愛用しておりますナードのケモタイプ精油辞典には、ロベジのところにフタリド類のことは記載がありますが、ベルガプテンについての記載はないので精油メーカー等で違いがでるのかどうかなどは現時点ではわかりかねますが、ベルガプテンが高濃度で検出される結果があるということは知っておいて損はないのかなぁと思います。

カボス精油と光毒性

カボスの精油は実は私は嗅いだことがありません。嗅いでみたいです。カボスと言えば大分ですよね。カボス最高。めっちゃ良い香りしそう。。文献に寄りますとカボスの主要成分はリモネン、ミルセン、γ-テルピネンとなっています。他資料から引っ張ってきたものにも、モノテルペン炭化水素類が94.6%以上で、そのうちリモネンとミルセンが主要な割合(それぞれ70.5%と20.2%)と記載ありました。あと非常に微量なアルデヒドも含んでいる様ですが、シトロネラールはカボスの香りの特徴的な要素なようです。沢村先生の研究の結果に戻りますが、フロクマリンとしてはベルガプテンとイソピムピネリンが97.2、14.0mg/kg検出されたようで、ベルガプテンの濃度高いですね。

グレープフルーツ

セリ科の光毒性に注意する精油

Minh Tu、NT、Onishi、Y.、Choi、HS、Kondo、Y.、Bassore、SM、Ukeda、H.、etal。(2002a)。Citrus sphaerocarpa Tanaka(カボス)コールドプレスピールオイルの特徴的な臭気成分。J.Agric。食品化学。50、2908〜2913。土井:10.1021 / jf011578a

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  • この記事を書いた人

村川朋美

香り師®︎の育成・プロデュースを行う。香り師®︎創始。Aroma future主宰。 アロマテラピー、コンサルティング、タイムマネジメントなど総括して指導。依存せず自立した人たちが尊重し合える社会を創ることが目標。 【違いがあることはpositive】 時々二脊の娘のことも綴ります。 ※企業研修、セミナーご依頼等は別途お問い合わせください。

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