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ヒノキの抗菌成分について調べてみた

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今回はヒノキの抗菌性について気になったので調べてみることにしました。ヒノキは加工もしやすく古くから家屋や寺社建築としても長く愛されてきた木材です。それに加えて抗菌性や耐久性にも優れているという特徴があり、日本人の暮らしにもなじみの深い木材の一つですね。

アロマテラピーの世界にも和精油が増えてきて、国産のヒノキやヒバなどから抽出される精油も少しずつ周知されてきたように思います。私は和精油の中ではクロモジの精油の香りが大好きなのですが、今回の記事とは話がずれるのでここでやめておきます。

今回は、なぜヒノキやヒバの抗菌性について調べてみようかと思ったかと言いますと、建築関係の方のお話を聞いたところからになります。長くなるので簡単にですが、ヒノキには虫を寄せ付けない、防虫や防腐の力があることは経験的に知られてきました。しかしそれが人体にも毒性として影響が出ることもあるのではないかという話を聞いたことがあるという話をちらっとされたんです。

アロマを生業とする者としては、ヒノキの抗菌性やまた毒性については改めて気になるところでしたので、調べてみることにした次第です。

ヒノキ・ヒバ樹木抽出成分の抗菌性の有効利用

最近の環境汚染や破壊の問題から、廃材としての木材から成分を抽出し再利用できないかという試みは色々と考えられてきました。先ほども書いたように人は有史前より経験的に、木材から抽出される成分には防虫や防腐についての効果効能がどうやらあるということを知っていて人はそれを活用をしてきましたが、現代においても活性物質を単離することによってその効果を活用することは試みがされてきました。薬剤を作るようなイメージですよね。

けれど、その単一の物質のみではあまり効果が出ないということもあったようです。そこで見直されているのが精油全体をそのままトータルで利用していくという考え方です。

有名な青森ヒバから採れるヒバ精油がありますが、このヒバ油はかつてはどちらかというと邪魔者扱いだったそうです。これは建築現場での話ではありませんが、青森の伝統工芸である津軽塗の土台となる木地に青森ヒバが使用されるそうで、しかし津軽塗の品質を落とすということでヒバの油成分は嫌われていた背景もあるよう。

しかし、1936年にタイワンヒノキの精油成分からヒノキチオールという成分が発見されたことにより、ヒノキチオールが持つ高い抗菌性が着目され、一転してこのヒバ油(またはヒノキチオール)をどのように活用していくかということが考えられるようになりました。

木材の抗菌性というと、ヒノキチオールという成分の名前がパッと第一に頭に浮かんでくるような気が個人的にはいたします。

今回はヒノキの木材から話が始まったのでヒノキだけを調べるつもりでしたが、せっかくなので青森ヒバについても一緒に考察をしてみようと思います。

青森ヒバの抗菌成分はヒノキチオール、ヒノキはカジノール

今回はヒバとヒノキの抗菌性について見ていきたいと思います。ざっくり言うと、青森ヒバの代表的な抗菌成分は

  • ヒノキチオール(とフェノール類)
  • ヒノキはカジノール等

のようです。

精油成分は基本的な炭素骨格の違いや置換基の違いによって抗菌性やその他の生理活性作用が現れます。わたしたちは、こういった精油がもつ生理活性作用についてもお勉強をしたりしています。

色々調べていくと。ヒバもヒノキも、

  • 葉から抽出するのか
  • 枝葉から抽出するのか
  • 樹皮や木材から抽出するのか(はては心材か辺材か)
  • 根から抽出するのか

などによっても含有成分の構成は変わるようで、それによって抗菌活性の現れ方も変化しそうです。

青森ヒバ(葉)の抽出成分としては、木材不朽菌に対する抗菌活性およびイエシロアリ、コナヒョウダニ、ゴキブリに対する殺虫の活性があったようです。

ちなみに、青森ヒバってヒノキアスナロって呼ばれたりするんですね。詳しくはヒノキ科アスナロ属に分類される針葉樹のくくりのようです。今回改めて木材について調べていて、ヒノキアスナロって出てきたときにヒノキの仲間かと思って文献を読んでいたら意味不明になってきて、よく調べたら青森ヒバのことだったということを理解しました。学名はちゃんと確認しないといけないですね笑

青森ヒバ油の抗菌成分について

まずは、

  • 青森ヒバ精油( Thujopsis dolabrata Sieb. et Zucc. )としての抗菌性
  • ヒノキチオール成分(β-ツヤプリシン β-thujaplicin)の抗菌性

そのどちらもそれぞれに考えていきたいと思います。

2003年の奈良県森枝セ研報の「木材抽出成分の抗菌性」という論文では、木材抽出成分が木材不朽菌に対して、どの程度の抗菌性をもっているのかをペーパーディスク法と寒天希釈法によって検討した結果が出ていました。

その論文では結果としてヒバ油はACQ(ACQとは加圧注入用の木材防腐剤として一般的に用いられている化合物)に匹敵するか、あるいはそれ以上の抗菌性を持っており、また成分としてはヒノキチオールなどトロポロン類がもっとも抗菌性に優れていて、次いでフェノール類のカルバクロールやモノテルペン酸類のシトロネル酸が効力を発揮することが判明したという旨の記載となっていました。

ヒノキチオールのトロポロン類とは

トロポロン類とは7員環構造で芳香族性を持ち、また水酸基を持っているトロポンの誘導体です。アロマに携わると6環状のベンゼン環は馴染みがありますが、炭素7つからなる7環状の芳香族はあまり馴染みがありません。たった炭素ひとつ違いですが、炭素6個からなる芳香族化合物とは性質は大きく異なるようです、ヒノキチオールのような7員環の核をトロポロンと言い、この骨格を持つ一連の分子群をトロポロン類(トロポノイド)と呼びます。

トロポロンは水酸基の置換位置によって各2−,3−,4-ヒドロキシトロポン(α-β-γ-トロポロン)の3種の異性体が存在し、一般にα-ヒドロキシトロポンをトロポロンと呼ぶそうです。(画像はα-トロポロン。C7H6O2)

どうでもいいですが、トロポロンって名前がかわいいですよね。

ヒノキチオールはβ-ツヤプリシン

ヒノキチオールはトロポロンのβでイソプロピル置換体で、これも各α-,β-,γ-ツヤプリシンと3種呼ばれます。ヒノキチオールはβ-ツヤプリシンのことを指しますが、これは天然物から単離されるトロポロン類ということになります。ちなみにトロポロン類は弱酸性物質。(画像はβ-thujaplicin  C10H12O2

ヒノキチオールは強い抗菌活性を持ち、また抗腫瘍作用も明らかになっています。その一方で、動物への毒性は低いことも分かってきており、平成元年に出された科学的合成品以外の食品添加物リストには、ヒノキチオールは保存剤として、ヒバ油は香料として使用することが認められてきた流れがあるようです。

また、ヒノキチオールが紫外線によるダメージを防ぐことも期待できるようです。これはトロポロン誘導体が活性酸素の除去に効果があることによると報告がされています。

この実験では

  • ヒバ油
  • ヒバ油から分画して得られる酸性油と中性油
  • さらに酸性油から分画したトロポロン類
  • さらにそこから精製したヒノキチオール
  • その他ヒノキ油、柿渋、木酢液などの天然系物質
  • 先ほど記載したACQという木材防腐剤

も比較で検討されています。この実験で使用されたヒバ油等にそれぞれ含まれていたヒノキチオール等成分のパーセンテージは以下です。

  • ヒバ油のヒノキチオールなどのトロポロン類 3.12%(LC分析)
  • ヒバ酸性油のトロポロン類 29.06%(ヒノキチオール19.1%、α-ツヤプリシン1.4%、β-ドラブリン8.56%)、カルバクロール3.2%、シトロネル酸8.0%)(GC/MS)分析)

供試菌は木材の耐久性を調べるための指標として用いられる菌があるようで、オオウズラタケ(Fomitopsis palustris)とカワラタケ(Trametes versicolorb)を使用。

結果としてヒバ油はACQに匹敵するか、あるいはそれ以上の抗菌性を持ち、また成分としてはヒノキチオールなどトロポロン類がもっとも抗菌性に優れていて、次いでフェノール類のカルバクロールやモノテルペン酸類のシトロネル酸が効力を発揮。けれど、トロポロン類が低濃度の場合、カワラタケに対する抗菌効力はオオウズラタケよりも微弱だと考えられるようです。

ペーパーディスク法で出た結果からのヒバ油やトロポロン類の抗菌性の考察として、ヒバ油に含まれるトロポロン類は、ヒノキチオール関連化合物よりも低濃度で優れた抗菌性を持つことが示唆されるとのことでした。どういうことかというと、ヒノキチオール単体としてよりも、ヒバ油として含むトロポロン類の方が低濃度で活性が高かったため、単離したものよりも複合的に成分を持つヒバ油の方がこの2種の木材不朽菌に対しては効果がありそうだという結果になったということですね。なるほどー。

また、ヒノキ油や柿渋は木材不朽菌に対してヒバ油には及ばない抗菌性の結果が出ていました。ヒノキ油と柿渋だと、ヒノキ油の方が抗菌性は確認でき、柿渋はそれより劣る結果でした。

柿渋はちょっと置いておいて、ヒノキ油は気になるのでもう少し書いておくとヒノキ油の濃度が25,000ppmだとオオウズラタケに対しては約80パーセント、カワラタケに対しては約90%の生育を阻止したけれど、391ppmだとそれぞれに対して10%から0%の阻止率となって効力の弱さがみえたようです。濃度依存で抗菌性の強度が変わるという感じですね。

その他の菌種についての実験結果

他の実験においても、様々な菌種にヒバ油及びヒノキチオールを使用していて抗菌活性を検討した結果が出ていました。

この実験で使われていた菌種

  • 黄色ブドウ球菌
  • 連鎖球菌
  • 大腸菌
  • 緑膿菌
  • 霊菌
  • プロテウス菌
  • 肺炎球菌
  • 枯草菌
  • サルモネラ菌
  • 黄色コウジカビ
  • 黒コウジカビ
  • リンゴ腐乱病菌
  • ブドウ灰色カビ
  • カワラタケ
  • ウェルシュ菌
  • 長イモ根腐病菌
  • オオウズラタケ

めっちゃ多いー。

結果としては天然の成分としてはとても少ない量で菌の発育を抑制している結果となっています。この実験内では、ヒバ油の他にもタイワンヒノキ油、スギ油、アメリカスギ油、コウヤマキ油、ヒノキ材油、ヒノキ枝油も比較で検討されていましたが、菌種によってはよく阻止するものもあるけれど、全体的に抗生物質と同様に抗菌スペクトルにばらつきが見られたようです。この菌には強いけど、この菌には弱い、みたいな。

あと前述の文献との違いで興味深かったのは、この実験結果では、ヒバ油よりヒノキチオール単体の方が低濃度で発育阻止できていることが見受けられていた点でした。さっきと違う。精油として全体性がある方が抗菌性が発揮されるのか、成分を単離したものの方が抗菌性が発揮されるのかは実験によって変わるのかもしれませんね。対象としている菌種が前実験とは異なることもありますが、使用しているヒバ油も違うと思うので、この辺りが天然物のばらつきが出るところかなぁと思ったり思わなかったり。

ヒノキ材油とヒノキ枝油は、枯草菌、黄ブ菌、連鎖球菌、大腸菌、霊菌、プロテウス菌、黄色コウジカビ、アオカビが菌種として上がっていましたが、全く抗菌性を示さない訳ではないですが、やっぱりちょっと弱そう。黄色ブドウ球菌あたりには対抗できそうな感じはありましたが。

その他殺虫・忌避活性

他にもシロアリやチャバネゴキブリのヒバ油の殺虫活性とケナガコナダニの忌避作用についても活性があることも実験結果が出ていました。ダニはなかなか死なないですね。殺虫は無理だったけど、忌避はできるという結果でした。強いですね。ダニ。

辺材と心材の殺蟻性

あと面白かったのが、辺材と心材では心材の方が蟻さんには凶器になるという結果が出ていて、辺材だと食されてしまっていたようです。辺材より心材の方が殺蟻性があるということは、ヒバ油に起因するということが考えられます。どうでもいいけど殺蟻って文字、こわいですね。ヒバ油のLD50値は24時間後の判定で1.20mgで、シロアリに対して非常に少ない量で殺虫的に作用すると記載されていました。

ヒバとヒノキ精油の防カビ活性

他にもヒバ精油とヒノキ精油の造膜型木材塗料用の防カビ剤としての有効性を検討した資料もありました。こちらもヒノキ精油よりヒバ油の方が防カビ効力が高い結果でした。ただ比較で有機ヨード系薬剤のIPBC(が含まれる防カビ剤製品)が使用されていましたが、ヒバ油もヒノキ油もIPBCには劣る結果が多くでていました。(ヒバ油は同程度と思われる結果もあり)

ただ、近年は健康への意識も高まってきているので、薬剤性の安全性について考えられることも多く、天然物質の集合体である精油によって保存性が期待できるということは、多少コストが高くても受け入れられる可能性は高くなっているように思います。防カビや防虫だけでなく、塗料として考えたときに、その塗料そのものが様々な有機溶剤系から水系へと薬剤も置換している背景もあるようで、それによっての腐敗や変色、カビの発生などのリスクも増えているようです。少しでも安全に使えるものがあるといいですよね。

ヒノキ精油の抗菌性

青森ヒバ(やヒノキチオール)と比べると、抗菌性がやや劣る印象の多かった前半ですが、そうはいってもヒノキ精油にも抗菌性がないわけではありません。上記の結果もそうですが、「日本・タイ両国における植林樹木ウッドスピリッツの新活用技術開発に関する研究の成果報告書」では、ヒノキ精油単体ではありませんでしたが、ヒノキ精油と廃発砲ポリスチレンとの複合体を住宅用建材に塗布して防腐防蟻効果を調べた結果が記載されていました。

結果的には野外においても表面にわずかに軟不朽の痕跡はあるものの、シロアリによる被害は全く見られなかったようです。この研究ではヒノキの心材、辺材、さらスギ赤とスギ黒の心材と各スギ材にヒノキ精油を塗布したものが上がっていましたが、スギもヒノキ精油を塗布したものはヒノキ心材とほぼ同等の効果を示したようです。おー。

さらに、ヒノキの葉精油がカワラタケに抗菌効果を示す結果もでていました。(オオウズラタケへの抗菌性も)ここではヒノキの葉精油にはヒノキ酸と呼ばれる独特なセスキテルペン系の成分が含まれていて、それによって抗菌性抗蟻性があると書いていましたが、ヒノキ酸についてはよくわかりませんでした。どうやらセスキテルペン系の不飽和カルボン酸で、酸性成分のようです。

ヒノキ油における大気汚染浄化の可能性

もうひとつ、耐久性とは少し話が逸れますが、ディーゼル排ガスなどの空気汚染物質を、低濃度ヒノキ精油の蒸気に接触させることで汚染物質を軽減できたというのが個人的には興味津々でした。ヒノキ油の希薄蒸気中にディーゼル排ガスを通すと、ナノ粒子がろ過可能なレベルまで凝集し、COx、NOxが著しく減少したようです。大気汚染の浄化にヒノキ油の蒸散が役立つのでしょうか。ヒノキ油の何がそうさせたのかが気になります。場合によってはそれこそヒノキ油でなく他の精油でも浄化に貢献できる可能性は結構考えられる予感がします。これはちょっと嬉しいですね!

ヒバ油とヒノキ油の毒性について

青森ヒバ油やヒノキ油の抗菌性等についてはなんとなくわかったので、もう少し毒性についてだけ考えてみようと思います。

ヒバウッド精油の毒性

青森ヒバ(学名:Thujopsis dolabrata (L.fil.)Siebold&Zucc.var.hondai Makiko

青森ヒバの木部抽出の精油としての毒性についてのデータはあまりたくさん見つけることができませんでしたが、β-ツヤプリシンの生殖毒性の可能性は示唆されていました。これはβ-ツヤプリシンの経口投与における実験によって出た考察でしたが、ラットとマウスの間で毒性耐性レベルにも差はあったようです。嗅覚作用としてこの毒性をどこまで参考にするかは人それぞれかと思います。

また、β-ツヤプリシンの発ガン性もなく(ラットにおいて)、逆に抗腫瘍活性は示すとのことでした(in vitro)。

総評としてはβ-ツヤプリシンは中等度の急性(経口)毒性はあるようですが、体内での半減期も短めなのでヒトに対してリスクをもたらす可能性は低いようです(Ogata, A., Ando, H., Kubo, Y., et al.:Food and
Chemical Toxicology, 37,1097-1104,1999)

ヒノキ精油の毒性

ヒノキ(木部)精油(学名:Chamaecyparis obtusa(Siebold&Zucc.)Endl.var.obtusa

ヒノキ(木部)精油の主要成分は20%程度セスキテルペンアルコール類のα-カジノール、18.4%のセスキテルペン炭化水素類のT-ムロロールとなっているのは、近藤氏の研究報告から言われるものが代表的なようです。(近 藤 隆 一 郎,今 村 博 之:木 材 学 会 誌,32, 213-217(1986))ヒノキウッド全体としては50%程度モノテルペン炭化水素類のα-ピネンが一番含有量の多い成分のようです。

ヒノキ(木部)やα-カジノール、T-ムウロロールに関する皮膚刺激、急性毒性に関する情報はどうやらなさそうです。ヒノキ(木部)に関しては発ガン性についての情報もなさそう。

ヒノキ(葉)精油

ヒノキ(葉)精油はヒノキの葉のみ、また枝葉から抽出されているものあるようなので、抽出部位はお手持ちのものを確認いただくと良いかと思います。主要成分はセスキテルペンアルコール類のエレモールが14.8%(Shieh et al 1981)となっていますが、ものによってはエレモールは1〜数%のものもあるようです。こちらも危険性等知見はないとのことで、あまりよくわかりませんでした。

けれど、こちらもモノテルペン炭化水素類リッチな精油であるようですので、そこまで大きな毒性はないような気もしなくないような、私の勝手なイメージで最後は締めておきたいと思います笑

あとエステル類の酢酸ボルニルも10%〜15%程度含有することもあるようなので、その辺りからもリラクゼーションにも役立ちそうなイメージもしたりしなかったり。

あと余談ですが、ヒノキの根抽出の精油だとまた成分が大きく変わってくるようなのでご注意ください。今回は木部付近の考察なので根は省略いたします。

木材の心材と辺材と精油成分

次に、精油ではなく木材として見たときの考察を少しだけ残して起きたいともいます。木材を輪切りにすると色の薄い部分と濃い部分があるそうです。

  • 樹皮に近い周りの色が薄い部分を辺材
  • 木材の中心部の色が濃い部分を心材

と呼ぶそうです。若い木にはみられませんが、ある樹齢になると幹の中央部分が色がついたようになるのだそうです。そこが心材。前述しましたが、心材の方が蟻に食われることもなく害虫抵抗生があることがわかっています。このHeartwoodというところが心材ですね。

木の種類によっては色で見分けにくいものもあるようですが、多くの木の心材は、フェノール類を含むため着色するそうです。フェノールの色なんですね。そうなんだ。(ちなみに心材のフェノール類の生合成はシキミ酸経路とアセチルCoA経路によるもの)

木材の構成成分と耐朽性

先ほども出ましたが、辺材より心材の方が蟻さんに食われにくいというのは精油成分による影響もありますが、辺材と心材を構成している素材が異なることもあるようです。木材の主成分はセルロースが大体50%、残りの50%はヘミセルロースとリグニンという成分が占めるようです。セルロースは多糖類(炭水化物)なので、蟻さん食べそうですよね← 心材ではデンプン質は失われていきます。

また、辺材の細胞には細胞核や細胞質が確認できるけれど、心材には確認できないそうで、つまり辺材は生きていて、心材は死んでいるというのも大きな違いかと思います。死んでいるというと聞こえが悪いですが、心材の細胞死は老化プロセスであり、いわゆるプログラム細胞死(PCD)を起こしているということですね。PDCが起こる過程でフェノール類合成といった代謝変動を行いながら死滅していくことで、心材部分が形成されていくようです。面白いですね。

さいごに

今回はヒノキとヒバの抗菌性と毒性について調べてみました。成分や木材の特徴もわかって面白かったです。木材の種類によって抗菌のレベルに差があるのも面白かったですが、辺材と心材でもそれは異なるということも初めて知りました。その流れから木材の代謝についても少し調べることになりましたが、もっと色々調べてみたくなりましたね。リグニンという成分もちょっと興味深いです。何十年もかけてゆっくり大きくなっていく樹木のこと。大切な資材でもありますので、たまには思いを馳せてみてください。

また、精油の化学など難しそうだけど、まずは基本から学びたいという方は、こちらからぜひ一緒にお勉強しましょう。

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参考資料

*ヒノキアスナロ葉油成分が有する殺虫効力、抗菌力、木材学会誌 35,851-855(1989)
*トロポノイドおよび関連化合物の化学 オレオサイエンス第7巻第11号(2007)
*木材抽出成分の薬理効果
*木材抽出成分の抗菌性 奈良県森技セ研報 
*抽出成分による木材の生物劣化抵抗性
*ヒノキ心材の耐朽性成分 木材学会誌 32, 213-217(1986)
*担子菌栽培培地に関する研究(第4報)ヒノキの阻害活性
*木材腐朽菌12菌株に対する木材および処理木材の耐朽性 MOKUZAI HOZON46(4), 196-201(2020)
*樹木精油の抗菌性 MOKUZAI HOZONVOL.17-3(1991)
*日本・タイ両国における植林樹木ウッドスピリッツの新活用技術開発に関する研究
*築約100根Nの木造住宅で使用されていたヒノキ床組材の耐朽性 酒井温子
*造膜型木材塗料用の防かび剤としてのヒバ精油およびヒノキ精油の有効性
*精油の安全性ガイド
*心材形成の化学 近藤民雄
*リグニンの化学構造と性状
*Collection of expressed genes from the transition zone of Cryptomeria japonica in the dormant season (休眠期のスギ移行材で発現している遺伝子の収集と解析)

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  • この記事を書いた人

村川朋美

香り師®︎の育成・プロデュースを行う。香り師®︎創始。Aroma future主宰。 アロマテラピー、コンサルティング、タイムマネジメントなど総括して指導。依存せず自立した人たちが尊重し合える社会を創ることが目標。 【違いがあることはpositive】 時々二脊の娘のことも綴ります。 ※企業研修、セミナーご依頼等は別途お問い合わせください。

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